Facebook創業の裏側に迫った映画『ソーシャルネットワーク(2010)』を好きな映画として挙げる人は多いだろう。しかし、マーク・ザッカーバーグ氏によれば、その内容は「完全に誤り」だという。
28日配信のYouTube番組にゲスト出演したザッカーバーグ氏は、視聴した感想を「奇妙だった」と説明。服装など「具体的なことは正確」であるのに、「(開発の)動機やその他すべての物語は完璧に間違っていた」と語った。
世界最大のSNSの開発秘話とそれに続く法的トラブルを描いた同作品は、2011年のアカデミー賞で8部門にノミネートされ、脚色賞を含む3部門を受賞した。
ザッカーバーグ氏は、映画の中でFBの開発がガールフレンドを見つけようという動機で描かれたが、サイトをスタートする前から妻プリシラ氏と交際していたと指摘。さらに、ハーバードの女子生徒を比較するいたずらサイト「Facemash」がFBの前身のように扱われているが、それは「全くの別物だ」と語った。
「21年が経った今でも、映画のせいで人々が、”ああ、これは人の魅力をレイティングするサイトとしてスタートしたのね”と思われる」と映画の影響力を認めつつ、「違うんだ。私はただのキッズで、ランダムに色々なことをやっていた。Facebookは完全に違って、もっと興味深く野心的なプロジェクトだった」と加えた。
なお、作品の真正性を否定したものの、この日、ザッカーバーグ氏が着用していたのは、本人役を演じたジェシー・アイゼンバーグが映画の中で着用していたTシャツだった。
番組ホストからTシャツを指摘されると、「全く同じ」と認め、オンラインオークションで友人が見つけたものを落札したと明かした。
「友人の一人がオークションでこれを見て、絶対に手に入れるべきだと言ったんだ。それで私は”わかった、もちろん手に入れよう”と答えたんだ」。
値段は明かさなかったが、落札価格は一部で4095ドル(約61万円)だと報じられている。
SNSの有害性をめぐって議会で吊し上げを受け、時に資本主義的欲望の悪の権化のような扱いを受けてきたザッカーバーグ氏は、近年リブランドに務めているとも報じられている。
グレーのTシャツが象徴する没個性なスタイルから、高級ブランドのシャツや金のチェーンを身につけたりするようになり、MMAのトレーニングに励んで体格も一回り大きくなった。以前は綺麗に刈り込んでいた髪の毛を伸ばし、ワイルドな風貌になった。
こうしたイメチェンが、ザッカーバーグ氏個人または製品に対する認識の改善にどれほど貢献するか不明だ。
ザッカーバーグ氏の好感度は低く、今年2月にピューリサーチセンターが実施した世論調査によると、アメリカ人の3分の2が同氏を好意的に見ていないことが分かった。
今回のTシャツのくだりについて、ネットでは「彼は共感されようと努力している」、「彼は人間になった…こんな日が来るとは思わなかった」と努力を認める声がある一方で、「なぜ彼はここでもAIのように見えるのか」や「ただのPRだ。君は絶対嫌な奴だ」など、冷ややかな反応が寄せられている。